




ワインについて
Il Frappato
フラッパートは、アリアンナ・オッキピンティが若い頃に描いた「自分の土地、呼吸する空気、自らの想いを映すワインを造りたい」という夢から生まれたワインです。酸味があり、血のように力強く、同時にエレガント。ヴィットーリアとイーブレイ山脈の表情を宿し、造り手本人を最もよく映し出す、勇敢で独創的かつ反骨精神にあふれた存在です。農民的なルーツを持ち、その根と過去を深く愛しています。
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分類:Terre Siciliane IGT
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品種:フラッパート・ディ・ヴィットーリア
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畑の標高:220m
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土壌:中程度のテクスチャーを持つ石灰質混じりの砂質土壌(古代サブアペニン起源)
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農法:ビオディナミ(有機認証取得)、化学的介入なし
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仕立て:グイヨ仕立てとアルベレッロ仕立て
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平均樹齢:35年
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植樹密度:6,000本/ha
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収穫時期:10月上旬
醸造:セメントタンクで野生酵母による発酵、果皮とともに25日間マセラシオン。6ヶ月間セメントタンク熟成、その後オーストリア製30HLの大樽で14ヶ月熟成し、瓶内で1ヶ月追熟。
約1か月セメントタンクでマセレーション後、3000Lのオーストリア産のオーク樽に移し14ヶ月間熟成、ボトリング後、1ヶ月休ませてからリリース。
アリアンナ・オッキピンティ(Arianna Occhipinti)
シチリア南東部、ヴィットーリア地区を拠点とするアリアンナ・オッキピンティは、自然と土地の個性を尊重したワイン造りで世界的に注目を集める生産者です。ワイナリーの始まりは、古代から続くワイン街道「SP68」に寄り添う畑〈フォッサ・ディ・ルーポ〉。そこからボンボリエーリ、ペッティネーオ、バストナーカ、サンタ・テレーザ、セッラ・デリア、サンタ・マルゲリータへと畑を広げ、ヴィットーリア特有の赤い砂とその下に眠る石灰・凝灰岩・石膏の個性を引き出してきました。
理念の核にあるのは「受け入れる」という姿勢。土壌や標高、畑ごとの個性を受け入れ、土地の均衡を守ることから始まります。農薬や除草剤は使わず、畑ではビオディナミ農法を実践。発酵は野生酵母に委ね、醸造でも人為的な介入を最小限に抑えます。こうして生まれるワインは、土地の物語と造り手の人となりを映し出す、健やかで誠実な味わいを持っています。
オッキピンティは、自らを「ワイン造りを通じて土地を伝える語り手」と位置づけます。小さすぎて単独では存続が難しい区画や、忘れられかけた土地を守り、地域の農業と生物多様性を支えることも使命のひとつ。過去と未来を背負いながら、夢を信じ、仲間とともに一歩ずつ築き上げるその姿勢は、ワインだけでなく生き方そのものにも表れています。
【鰯とウイキョウのスパゲッティー サフラン風味のトマトソース】
小倉シェフにしては、比較的具材が豊富なパスタではないでしょうか。それだけに、鰯、ウイキョウ、松の実、レーズンといった重要な素材は、どれも欠かすことができません。ひと口運べば、香りや食感のバラエティが口の中で広がり、楽しいひと皿です。鰯はソースに加えるだけでなく、香ばしくグリルした切り身を添えることで、その存在感と風味を際立たせています。合わせたのはシチリアのフラッパート。一般的にはストロベリー系のチャーミングな印象が多い品種ですが、オッキピンティの造るフラッパートはより厳格なスタイル。鰯の旨みと香ばしさが赤ワインを誘い、この重すぎず軽すぎない味わいが、コース全体の流れにも自然に溶け込みます。