イタリア北部の東端トリエステから北に15km、カルソ地方と呼ばれる石灰岩の台地のほぼ中央であるズゴーニコ郊外の小さな集落コッルドロッツァにヴォドピーヴェッツのワイナリーはあります。農業学校を卒業したパオロ(当時25歳)は、1994年に弟ヴァルテルと共に起業し、それまで花や野菜、バルクワインの販売で生計を立てていた両親から畑を受け継ぎ、1997年から自家瓶詰めを始めました。
カルソは硬い石灰岩の岩盤で構成されているため土が極端に少なく、一般的にブドウ栽培に適さないと考えられてきましたが、パオロはミネラルが豊富なカルソという土地を表現するにはヴィトフスカこそが最良のブドウであると信じ、100年後にこの場所でブドウを栽培する人たちに向けカルソの持っている可能性を表現したいと考えています。海から10kmほどの場所にある、海抜260mの赤い粘土土壌が特徴的なブドウ畑では、地熱の影響でブドウがより凝縮しつつ、ボーラと呼ばれるこの地域特有の強風に枝を折られないように低めに仕立てたアルベレッロで、ボルドー液以外の農薬は使用せずに栽培を行っています。
No.4【赤】キアンティ ルフィナ リゼルヴァ ヴィニェート ブッチェルキアーレ/ ファットリア セルヴァピアーナ
ヴィンテージ:2019 価格6,160円 産地:トスカーナ州 品種:サンジョヴェーゼ100% 輸入元:豊通
【どんなワイン?】
ため息が出るくらい完成されたサンジョヴェーゼ。
天然酵母、ステンラスタンク発酵、バリック(新樽比率10%)で15か月熟成
最良な年のみ瓶詰めされる100%サンジョヴェーゼによる単一区画産ワイン。南/南西向きで粘土質を多く含む粘土石灰質土壌で収穫は毎年最後に行われる。1979年に醸造コンサルタントのフランコ・ベルナベイ氏の考案により造り始め、サンジョヴェーゼ100%の単一畑というコンセプトによるワインの走りであった。クラシックな強さ、フィネス、土っぽさ、豊かさ、長い余韻、熟した心地いいタンニン。これから12-15年は美味しく飲める。2019年はブッチェルキアーレ誕生の40周年ということでラベルデザインが特殊。
【どんな造り手?】
フィレンツェ市から北東へ約25キロ、トスカーナとエミリア・ロマーニャを隔てるアペニン山脈の山間に位置するキャンティ全域最小のDOCG、キャンティ・ルフィナ。セルヴァピアーナは中世にその高台にフィレンツェ市を外敵から守る見張り塔として建立され、後ルネッサンス期には司教、貴族の避暑地として利用されていた長い歴史を持つ。名の由来はSelva=森、piana=平ら。
1827年に銀行家として成功したミシェル・ジュンティーニ氏が購入したことにその歴史が始まる。その後、5代目として引き継いだ名門アンティノリ家の一族である先代フランチェスコ・ジュンティーニ・アンティノリ氏はテロワールの特徴を表し長期熟成に耐えうるワイン造りに情熱を注ぎ、ルフィナ地区全体の特異性を世界的に高めた立役者となる。1978年には後に著名なエノロゴとしてイタリア中数多のワイナリーの作品を手掛ける事となるフランコ・ベルナベイ氏の才能をいち早くを見出し、醸造コンサルタントとして招聘し、その関係は今もなお続いている。
生涯独身のフランチェスコ・ジュンティーニ・アンティノリ氏は従業員のエステート・マネージャー、フランコ・マセッティ氏が1990年に急逝した際にまだ若かった息子フェデリコと娘シルヴィアを1994年に養子として迎え入れる。現在はそのフェデリコがワイン造り全般と営業、妹シルヴィアが事務全般を担当している。幸運にも名家に迎え入れられた背景があるからか、貴族の一員でありながらも驕った所がなく謙虚な紳士フェデリコ。今は自然派ワインに夢中で好きなワインはバローロだそう。
No.5【赤】タウラジ ヴィーニャ マッキア デイ ゴーティ/ アントニオ カッジャーノ
ヴィンテージ:2017 価格9,350円 産地:カンパーニア州 品種:アリアニコ ディ タウラージ100% 輸入元:スリーボンド
【どんなワイン?】
フランス産バリックにて12~18か月+瓶内18か月濃いルビー色。森の黒い果実や赤いベリー系の果実に、リコリスやバニラが混ざり合う複雑で芳醇な香り。力強くエレガント、まろやかな口当たりで、甘いタンニン、フレッシュ、余韻は長く心地良い。
【どんな造り手?】
アントニオ・カッジャーノのワイナリーは、3つのDOCGを抱える、カンパーニャ州の内陸部に広がる歴史あるワインの銘醸地、イルビーアの丘陵地帯に位置します。所有する26haのブドウ畑のうち、コントラーダーサーラの風通しの良い海抜350~450mの23haの南西向きの畑ではアリアニコ、ラビオの3haの南西向きの畑ではフィアーノが栽培されています。いずれも粘土石灰質の土壌で、きれいな酸とミネラルの特徴をブドウに与えます。グレコはトゥーフォの、ファランギーナはベネヴェントの、それぞれアントニオが栽培管理を行う契約農家から仕入れています。
ワイン造りへのこだわりはブドウ栽培だけではなく、醸造過程にも表れています。建築家でもあるアントニオが天然の岩を掘り拡げて作った地下の洞窟型セラーでは、天然の岩場から染み出る海水が7インの醸造に必要な湿度を生み出し、自然環境を利用しながらも最新のテクノロジーで温度管理が行われています。また通常規定の瓶熱より長く熟成させるという点も特徴的です。ワイナリーには、農村文化を伝えるミュージアムを作りたいというアントニオの遊び心から、至る所にワイン造りのための器具や用具、アントニオや彼の友人のアート作品が飾られています。
アリアニコにこだわり、ワイン業界から失われてしまった広統的なタウラージを復活させた火付け役として、ワイナリーとしては比較的若い歴史にも関わらず数々のアワードを受賞し、今ではイルビニアの代表的なワイナリーのひとつとして周知されています。現在は、アントニオからイルビニアワイン造りの情熱を引き継いだ息子のジュゼッペ(相性ピノ)が、きめ細やかな畑仕事から、情熱的で的確な離造方法までを父から学びながら、イルビニアワインの偉大な表現者としての、高品質で特徴的なスタイルのワイン造りに貢献しています。
No.6【赤】バローロ/ マリオ マレンゴ
ヴィンテージ:2018 価格8,580円 産地:ピエモンテ州 品種:ネッビオーロ100% 輸入元:テラヴェール
【どんなワイン?】
ラ・モッラの新しい畑(1999年植樹)のアッサンブラージュ・バローロ(ボイロ、セッラデナーリ、ロンカリエ、フォッサーティ)。別々に収穫して別々に醸造。発酵は野性酵母のみでマセラシオンは10日間。バリック(15%新樽)に移し変え、セラーの温度を上げてマロラクティック発酵を促し、24ヶ月熟成。
【どんな造り手?】
「マリオ・マレンゴ」は1899年からボトリングを開始。 創設者は現在の当主「マルコ」の父「マリオ」。所有畑は全て合わせて3.5ha。2001年父「マリオ」が亡くなり、「マルコ」が後を継ぐと 一気に評価を上げていった。彼は毎日畑にいることで造り手達の間で有名。
『バローロで葡萄樹を健康に保つ為に重要なのは 区画の場所に合わせて仕立を変えて湿気と陽光の当たり方を調整すること』
必要な時期だけ殺虫剤の代わりに特定の害虫の産卵や繁殖に合わせてフェロモン・トラップや蜂蜜、ヴィネガーが使われている。 畑では下草が伸ばされている。春先と雨が多い時 期のみ湿気を除去する為に刈り込みを行うが基本 的に 1 年間伸ばしっ放し。
『下草は急斜面のブルナーテでは重要。表土が流れ落ちるのを防ぐ。同時に葡萄樹の根が横に伸びるのを防いでくれる』
『毎日樹を観察すると葡萄樹の病気等の変化に気がつける。早く気付けば薬剤を使わずに対処できる。 だから硫黄だけしか使わずに済む』畑では硫黄と銅以外は使用しない。殺虫剤、除草剤も一切使用しない。病気は予防と観察、介入の3段階で対応できるが、「マルコ」は予防と観察で全て対処できると考えている。
『バローロ最高のクリュの1つがブルナーテ。その最高の区画を所有するのがマリオ・マレンゴ。斜面、方角、土壌、樹齢、全てが最高』
「ラ・モッラ」の特徴である「優雅さ」を高いレベルで表現することができるのは限られた畑。「ブルナーテ」こそが「ラ・モッラ」。1haの「ブルナーテ」は丘の中心部、南東向き。日光が一番初めに当たる区画。標高は350mで丘の中部に位置する。 「ブルナーテ」最高の区画と言われる彼等の「ブルナーテ」は僅かに年400ケースの生産。
『樹齢は80年。ブルナーテで最も古い葡萄樹。土壌は粘土石灰質だがシルトが混じっているのが特徴。鉄分が少ないのも特徴』
もう 1 つ彼等の重要な畑がバローロ村の「ブリッコ・デ ッレ・ヴィオーレ」。0.9haの小さな区画で丘の最上部を所有。1950年に植樹された古い区画で標高は450mを超す。
『ブルナーテより石灰含有量が多く、標高はバローロ村で最も高い。ワインはより繊細で名前の通りスミレの花の香が出る』